2017/02/10 11:31

沖縄自動車道を走り、万座ビーチへ向かう途中、
沖縄駐留アメリカ軍海兵隊員の訓練地を通った。
鬱蒼と繁る手付かずの森林帯…
観光タクシーの運転手さん曰はく
「この森の中で、アメリカから派遣された新人エリート海兵隊の方達が訓練をしている」と言う。
言いようの無い得体の知れない悲哀が、私の胸の奥に沸き上がった。

家族から「自慢の我が子」と言わしめるエリート中のエリート。
映画『愛と青春の旅立ち』で見られる、その厳しい訓練を経てエリート幹部になるはずだった。
それなのに、その志半ばで”自らの命を絶つ”…
しかも、日本・沖縄の森の中でだ。

私の脳裏には『輪廻転生』という”業”が見えた。
前世で他人の命を奪ったが為の現世の試練であろう。
今度は自らが『命』の意味を考えなければならない試練だったはずだ。
どういう形にしろ天寿・天命を全うせずして『命を絶つ』と云うのは、
絶対にやってはいけないのだ。
他者の『命』も自分の『命』もだ。

『生きる』という意味はとても深い。
それでも、訓練を全うして自分達がこれから奪おうとする、または前世で奪ってしまった『命』について考え、嚙み締めて欲しかったと私は思う。

第二次大戦で最も熾烈を極めた沖縄戦…
アメリカ軍、日本軍、沖縄の一般市民の方々、おびただしい犠牲者があった事は言うまでもない。
非情な歴史だ。
戦争は人類の歴史の中で最も悪とされる行いだ。

『輪廻転生が実在することが量子論で判明!』
「死後、あなたの意識は次の人の脳に張り付く」 
というニュースにも取り上げられている、
『ジェームズ・レイニンガーくんの事例』
(米海軍の戦闘機パイロットだった記憶を持っているという)を考えると、
沖縄の森林の中で試練を与えられた若きエリート海兵隊員さんにとって、
前世の過ち(ゲリラ戦による戦闘行為)による命の奪い合いという『業』に気付き、何らかの形で『業』の解消と修正を完了するため"生きて"欲しかった。

今の沖縄はとても美しい海が360度広がる一大リゾート地となっている。
これを書いている私の目前には、それは素晴らしいコバルトブルーの海が眺められ、
波の音に心癒されている。
「きれいな海だねぇ」夫が語り掛ける。
でも、私には此処へ呼ばれた何か意味のある因果を感じずにはいられない。
私の胸に込み上げたモノは、悲しさではなく口惜しさだろう。

沖縄へ降り立つ前、鹿児島の友人宅を訪問し、生後間もない新しい命を見に行った。
今回の旅は、人間の『生命』を考える旅となった。
鹿児島の『生』と沖縄の『命』だ。

この美しい海に、先の大罪によってどれほどの命が吸い込まれ、赤く染まったのだろうか…
また一つ決して忘れてはならない人間の業を思う…